わが祖国 [Má Vlast] 第2曲《ヴルタヴァ》[Vltava]

演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
作曲:ベドルジハ・スメタナ

URLは下記の通り変更しました。
https://arisada.wjg.jp/central_europe/Vltava_Berlin.html

ドヴォルザークの師でもあったべドルジフ・スメタナ (1824〜1884) の代表作中、最も有名な作品が、1874〜79年に作曲された、6曲より成る連作交響詩《わが祖国》で、愛国者であったスメタナは、50歳の時には完全に聴力を失っていたが、ヴルタヴァ川の悠久の流れに心の耳を澄ませ、チェコの自然やボヘミアの輝かしい歴史をこの作品で表現している。 チェコは長年、オーストリアなど、他国からの支配が続いていたため、折しも、独立の気運が高まっていた。 その《わが祖国》の第2曲目にあたる《モルダウ》は、全6曲中、最も有名な曲で、プラハ市内を貫いて流れるモルダウ川 (チェコ語でヴルタヴァ川) を描いている。 スメタナ自身が次のような標題を記している。「ボヘミアの森の奥で2つの水流が流れ出し、いつしか、それが1つになり、森や牧場、楽しい結婚式が行なわれている田園風景などを通り抜け、水の妖精が月明かりに舞う夜を迎えても、さらに流れ、やがて大きな流れとなり、彼方へと流れ去ってゆく」。 チェコ西部の山岳地帯を水源とするモルダウ川は、プラハ*市内を過ぎるとエルベ川と合流し、ドイツ中部を通って最後には北海に注ぐ。 スメタナは、ボヘミアの輝かしい歴史に思いを馳せながら、そのモルダウ川の誕生から大河へと成長する様を、周囲の光景やそこに住む人々の生活を織りまぜ、見事に描写している。 なお、チェコでは毎年5月12日から約1か月間にわたって "プラハの春" 音楽祭が開催され、その5月12日はスメタナの命日に当たる日で、その日には必ず《わが祖国》全6曲が演奏される。

プラハ [Praha] の語源は、ヴルタヴァ川の瀬 [prahy] が由来もと、と云われている

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