モナコの国章は、大公家であるグリマルディ家 [Grimaldi] の紋章を1886年以降、そのまま国章として共用している。 中央のフランス式エスカッシャン(盾)には赤と銀(白)のフュージル(fusil:縦長の菱形)が敷き詰められている。 国旗の色でもある赤と白はグリマルディ家の男子が馬上試合などで身に着ける家の色である 。17世紀以降、赤と白の菱型を敷き詰めた旗は国旗の代用にも使われた。 盾を囲む装飾は、モナコ大公から、モナコと大公家に献身した者を対象に授与される、モナコの最高勲章である聖シャルル勲章を模している。 サポーター(盾の左右に配置されるもの)は剣を掲げたフランシスコ会の修道僧である。 これは、グリマルディ家の始祖であるフランソワ・グリマルディ
[François Grimaldi] が1297年1月8日にフランシスコ会の修道士に変装した兵団を引き連れ、皇帝派に占拠されていたモナコに侵入した故事にちなんでいる。 モットーは"Deo
Juvante" (「我、神のご加護と共にあらん」)。 大公の冠に結びつけられたマントは表が赤、裏はアーミン(シロテン)の毛皮である。
注意: 同じ国章でも少しずつデザインが異なっているのは、描いた画家や携わった人の好みなどによって異なるもので、一定の条件にさえ適合していれば国章として認められているようです。 例えば
≪サポートは二人の修道士で刀を持っている≫ などの条件があれば、刀の持ち方などの違いは認められています。 一例として、国境の石柱に埋め込まれている国章では、上図とは違い修道士の持つ刀の先端は下に向けられています。 逆に、この条件に合わなければ、全く別物になってしまうほど、厳しい決まりとも言えます。 紋章は1297年のグリマルディー家
[Grimaldi] のものを、少しの変遷を超えて20世紀初頭に現在の形になっています。
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